とにかく”眠い”の一言に尽きる映画。
スピルバーグ監督で、メリル・ストリープとトム・ハンクスが出演!
それはもう期待が高まる映画でしたが、結果・・・”なんじゃこりゃ?”
まず、日本語タイトルがマズイ!
これは、ペンタゴンの機密文書の映画ではなく、「ワシントン ポスト」という新聞社の映画です。
実際、原題はそのようになっています。
で、その新聞社が独自に得た”ネタ”を公開すべきかどうか、社内で大いに揉める・・というのが主なストーリー。
日本でも機密文書が流出した責任がマスコミにあるかどうか議論されている最中なので、公開のタイミングはすごく良かったと思うんです。
内容もすごく良い。
しかし、映画として楽しめないんですよね。
オープニングのベトナム戦争のシーンはまぁ、引きつけられましたが、その後の展開が緩い!
機密文書を手に入れるハラハラ・ドキドキの展開もない。公表すべきか否かの議論も結局新聞社の社内で揉めるだけ。
むしろ、最初にニュースを流したニューヨークタイムズにスポットを当てた方が面白かったかもしれません。
例えば、ニュースをタイムズと取り合ったり、情報提供者の命が狙わりたりなど、多少盛った方が面白かったのではないでしょうか?
いくら立派な主張を展開したところで、結局映画は面白くないと、しっかり見てもらえないし、伝わらないと思います。
ラスト近くの、新聞が刷り上がっていくシーンや、裁判のシーンなど、印象的なところはありますが、全体的に薄いですね。
また、勝訴を勝ち取り、メリル・ストリープが女性支持者の前を歩くシーンがあるんですが、恐らくは、”女性の権利”、”女性の社会進出”などを強調したかったのでしょうが、これがまた、押しつけがましいというか、冷めてしまうんですよね。
女性ばかり固める必要があったのでしょうか?
真実を伝えることの重要性や、国民の知る権利など、重要なテーマであることは認めます。
そういう意味では素晴らしいのですが、見てくれる人がいない映画では、結局何も伝わらないのではないでしょうか?
スピルバーグも、娯楽映画だけでなく、社会性の強い映画をいくつか撮っています。
ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」は、全然ダメですが、良かった作品もあります。
特筆したいのは、「硫黄島からの手紙」と「父親たちの星条旗」の2本シリーズです。
同じ「硫黄島の激戦」を”日本側”と”アメリカ側”と視点を変えて表現していて、比較するのはともても面白かったです。
「シンドラーのリスト」も心打たれた作品の一つです。
全体はモノクロなのですが、印象的なシーンのみ、カラーが使われていて、とても心に残ります。
特に、シンドラーが”自分がやるんだ!”と決心するシーン、”ある物”だけが、モノクロ映像の中から赤く染まります。
この”ある物”をシンドラーが見ることが重要なんです。
後に「〇〇のシンドラー」という言葉が次々に発生したほど、シンドラーを有名にした映画です。
こちらはお勧めです。